レポート
2018.08.04

Memories of the sea vol.4 慶良間

自然とのふれあいが、どれほど大切か。
それに気づいたのは、はじめて潜った慶良間諸島の海でした。
それまで海で遊ぶことといえば、友人と一緒のバーベキューくらい。
泳いだり、潜ったりすることについては考えたこともありませんでした。

きっかけは20歳。
「初めての事に挑戦したい!」と思い、ダイビングの免許をとりました。
それからの海の中での数々の出会いで私の考えは大きく変わったのです。
最初に出会ったサンゴに生息する『デバスズメダイ』の群れ。
沢山のデバスズメダイの群れが珊瑚の中に隠れたりパッと広がる姿は、 まるで海の花火。
デバスズメダイは体長3~5cmほどの小さな魚で、動きは敏速。
鮮やかに広がるブルーのグラデーション。
なんて美しい光景なんだろう。
陸で見たことのない初めての美しさに文字通り言葉も出なくなり、
ただずっと見惚れるだけでした。
https://www.youtube.com/watch?v=WXLRAcUifng&index=5&list=UUau-ArQZqI6tmYHcACKtpxQ

その出会いから、私の世界は一気にひろがりました。
素晴らしい海の生物、そして生物に触れることで生まれた、 それらが一緒に生活する自分の生まれた島、沖縄への意識と、 その沖縄から生まれた多くのもの。
琉球舞踊、音楽、伝統工芸、郷土料理に方言など、沢山のことに興味を持ち、 またそれは私のイラストを描く仕事に大きく繋がっています。

そして、一番気づかされた、命の大切さ。
いつも目にしているコバルトブルーの海。
それは沖縄で生まれた私にとって当たり前の風景でした。
でもその海の中には沢山の命があり、その命が囲んだこの島にも、多くの命が 息づいています。
空から降ってくる雨は、木や葉の栄養分を含んで森を作り、森は川をつくり、 川は私たちの暮らす街を通って海に流れていきます。
森から海へ一つ一つの繋がりの命の歯車がこわれれないよう、一人一人の意識で地球にとっても私たちにとってもやさしい選択ができるように。

この景色がいつまでもみられるように行動していきたい。
大げさなことを言いたいのではなく私はただ、それがシンプルに美しくて嬉しい ことだと思っています。

私は沖縄の海が好きです。同じように山も好きです。
そして、そこから広がった日本中や世界中の自然との出会いに感謝しています。
あの小さなデバスズメダイとの出会いからはじまった、広い世界への繋がりを 大切にして、これからも沢山の命と触れ合っていきたいと心から思います。

最後に私の好きな旭山動物園の坂東元先生の言葉を紹介します。
「相手を知らないと自分たちの行動がどのような結果をもたらすか計り知れないし、心が痛むこともありません。すべての生き物の命を感じる。これは、地球に優しい生き方の原点になると思うのです。」

坂本元著『ヒトと生き物ひとつながりのいのち』より

pokke104(池城由紀乃)
いけしろ ゆきの。沖縄生まれ。イラストレーター、アーティスト。 2003年より活動。
イラストレーションを主とし、壁画、ライブペイント、グラフィックデザイン、テキスタイルデザイン、CDジャケットデザインのアーティストへの提供など、 その作品は多岐にわたる。
またイラスト同様、主体活動の「アートワークショップ」は、参加者数と年齢層、国籍に制限をつけず年間10本以上を開催し、沖縄美ら海水族館でのワークショップをはじめ、国内はもとよりロンドンやミラノ、香港でも開催。
「見たモノ感じたモノを心のポケットに。そのポケットは発信の源であるように。」という思いから活動名をpokke104とし、生まれ育った沖縄の原風景 「海、山、里、いのちのループ」をテーマにワクワクを日々製作中。

pokke104

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