うるまの海を舞台にした歴史文化や海の恵み、サンゴについて学ぶ「しまうみ探検隊」は2日目へ。うるま市環境課の目取真泰裕さんを迎え、海中道路の歴史や自然環境についてお話を伺いました。
平安座島と本島を結ぶ全長5.2キロの道路が建設されるまで、交通手段は干潮時に浅瀬を歩くまたはトラックを利用する、満潮時に渡し船を利用するしかなく、島の人々は生活する上で大きな負担となっていました。1960年には島民が海中道路建設期成会を結成し建設を目指しましたが、台風の影響でとん挫し完成には至りませんでした。
1970年、アメリカの石油会社であるガルフ石油が平安座島に進出することになり、沖縄本島までのパイプライン敷設の目的もあって海中道路の建設計画が決まり、日本復帰の1972年に海中道路は完成します。
島の人々の生活を大きく改善し、完成以降は沖縄の原風景が色濃く残る離島4島の魅力に触れるようと多くの人が訪れる人気スポットとなり発展し今に至ります。
一方、海中道路の完成により、沖縄本島と平安座島を挟んだ潮流には変化が生じます。北の金武湾と南の中城湾への水路は2本となり、一部に漂着ごみの滞留や生活排水の流入による自然環境の悪化が心配されています。
うるま市が現状分析のために環境調査や生物調査を行ったところ、シーカヤックや養殖場などの海辺はきれいな状態が確認できたものの、特に悪臭が確認される本島側と海中道路の接合する三角地点では基準値を越えた数値が検出されました。海が汚れてしまった主な理由は、海藻類や漂流物の堆積や生活排水によるものだそうです。
うるま市では海の自然環境の再生に向けて、多くの実績をあげている干潟耕転(干潟を耕すこと)や浄化剤の散布を実施したほか、地域の方々と一緒に干潟のクリーンアップ活動に取り組みました。
こうした取り組みの結果、現在では水質改善の兆しが見え、貝やカニなど以前は生息が確認できなかった生き物たちが戻ってきたそうです。また、堆積して悪臭の原因となっていた海藻を肥料にして農業に活用する実験も始めています。目取真さんは、自然環境の再生に向けた道のりは始まったばかりで、行政だけでは難しく地域の方々と一緒になって継続していきたいと説明してくれました。子どもたちは、「空からみた写真はきれいな海中道路なのに、環境が悪くなっているところがあって驚いた」など感想を述べました。「海藻を肥料にするのはいつごろ完成しそうですか?」と質問する子もいて高い関心を示していました。暮らしの豊かさと元気な海の調和を目指すには人の生活が与える海への影響を知り、暮らしの中で自分にできる事を考えることが大切だと学びました。
続いてはいよいよ終盤のプログラム。うるまの海を舞台に学んだことを2つのチームに分かれて意見交換、発表する内容をまとめました。ちなみにパソコン画面の外はこんな感じ(RBCの4階ホールより中継)。
みんなの意見をコトバと絵を駆使して描くコトバグラフィッカーのちょこさんとのみほさんの協力を得て、2日間を通して感じたうるまの海の学びを表現しました。
続いて、未来の海はこうであってほしい!という願いを込めたメッセージを書き出しました。みんなのメッセ―ジはグラフィックとしてイベント後に完成を目指し、うるまの海水塩が使われた商品「あらじお黒塩」と塩せんべい「みすてないでね」のパッケージにデザインされ、10月末までの発売を目指します。
オンライン開催が始まる前は、実際の体験ができないので、子供たちにどれくらい楽しんでもらえるか不安でした。始まってみると予想以上に積極的な質問や意見にスタッフも講師もびっくり笑。保護者の皆様にもご家庭でフォローいただくご負担をお願いしてしまう形となりましたが、ご協力ありがとうございました。今回のプログラムの様子は、新聞や放送で紹介するとともに、オリジナル商品販売を通して海と日本プロジェクトの活動の発信につなげていきます!どうぞお楽しみに!
RBC「海DO宝」10/6(水)10:54~10:57放送予定
沖縄タイムス「ワラビー」10月下旬ごろ掲載予定